2017年11月27日

会員訪問レポート-中外写真薬品株式会社-

「会員訪問レポート!」
 協会では、会員各社との情報共有と協会活動への理解を深めていただくため、順番に会員を訪問して意見交換を行っています。
 今回は中外写真薬品株式会社(以下中外写真薬品)および販社であるジェットグラフ株式会社(以下ジェットグラフ)を訪問し、最近話題のファインアートインクジェット市場を中心にお話をお聞きしました。
 訪問日:10月4日水曜日、11月7日火曜日
 面談者:中外写真薬品 鵜沢部長様、大嶋係長様
     ジェットグラフ 取締役販売推進部髙栁部長様

1.中外写真薬品概要
<設立>昭和23年10月
<代表> 代表取締役社長 中世古守秀
 中外写真薬品は、写真ケミカル専業メーカーからデジタルシステム、環境対策まで、全ての映像分野において、先駆的役割を果たしてきました。
 今年の7月1日、従来サイン・ディスプレイ関連材料の販売会社であった「ジェットグラフ社」に同社のフォト関連商品の販売機能を併合し、同時に札幌・仙台・広島に営業所を開設、全国7拠点で商品・サービスを提供する体制となりました。

2.企業トピックス
 ジェットグラフは、売上高30数億円で、写真業界、サイン・ディスプレイ業界に最適なトータルソリューションを提供しています。インクジェット用紙では、ファインアート用紙として人気の高い「イルフォード」「ハーネミューレ」の国内総代理店として、画材紙系・キャンバス系など50種類以上の品揃えがあります。7年前にヨドバシカメラ様より、「ファインアート用紙コーナーを作りたい」とのお声がけをきっかけに市場が拡大し、当初年率50%以上現在でも20~30%の高い伸びを示しています。フォトコンテストの応募作品でもメーカー純正紙に混じりファインアート紙のシェアが高まっており、IJペーパー全体に占めるシェアはまだ数%と低いですが、作品によって様々な風合いの用紙にプリントしたいというニーズは写真家やハイアアマチュア中心に高まっていると言えます。
 CP+等イベントへの出展と平行して、4年前よりプリンターメーカーの協力を得て、伊勢和紙・ピクトリコ・アワガミなど7社が共同でプリント体験イベントを年に3~4回開催し普及活動に注力してきました。通常箱単位で販売していますがイベントでは1枚から販売し、白地の色味や面種の違いを体験していただくことができます。最近では、美術系大学や写真専門学校からも用紙選びセミナーの依頼が来るようになりました。学生の皆さんにもIJプリントによる作品制作を提案しています。
 また、写真館のみなさんの間でも関心が高まっています。特にキャノンのプロ1000が発売されて以来、プリンターの選択肢も広がりファインアート紙への問い合わせが増えています。写真館協会等でのセミナーでもファインアート関連は好評を得ており市場が拡大しています。

3.協会に関する意見交換
 日本におけるファインアート紙の特徴をお伺いすると「海外ではマット系の人気も高いのに比較し、日本ではバライタ系の人気が圧倒的に高い」とのことでした。
 写真プリント需要の拡大に関してご意見を伺うと「最近ユーザーを見ていると、InstagramなどSNSで即時に写真が共有され、プリントされる機会が少なくなってきていることに危機感を強めています。高校でも学校でiPadが配布されており、写真を撮ってもその場で交換することで完結してしまいます。会社としてはIJペーパーの他、印画紙・薬品やポストカードが主力商品ですので、プリント需要の減少をなんとか食い止めなければと考えています。ロモグラフィーのイベントには若い人が数多く参加していたり、フイルムカメラの人気が高まっていたりする事もふまえ、若い人や女性に写真をカタチにすることを伝えていくことが重要ではないか?」とのことでした。協会より、新たなプリント商材として富士フイルムより提案されているカレンダーには、可能性を感じているとお話しました。また、いままで協会のセミナーに参加されたことがないとのことでしたので、次回セミナーのご案内や今年からプリント需要動向を情報提供していることをご説明し、大変興味を持っていただくことができました。

以上